バイトバイマイサイ
僕は某大手高級スーパーマーケットで働く、大学4年生だ。1年の時からこのアルバイトを続けている。
このアルバイトをしていてよく感じる魅力がある。
働くことのやりがい。老若男女、訪れるお客様に対して、丁寧な接客を心がけ真面目に仕事に取り組んだ時に、接客の最後に感謝の言葉などをかけてくださるお客様がいる。こういう場面で、「この仕事をやっててよかったな」とやりがいを感じる。
しかし、そんなやりがいよりも、もっともっとこの仕事をする中で感じる魅力がある。
それが、賞味期限切れになった廃棄予定の商品を持ち帰れるという点である。
これはスーパーに限らず、コンビニなどでもあるだろうが、大手の超高級スーパーである当店ならではの、高級嗜好品が廃棄として手に入るという点において、この業界で右に出るものはいないだろう。
その日はバイトの勤務時間が5時間半で、ラストの締め作業及び、閉店業務並びに、精算の作業が任されており、非常にヘヴィな一日であった。
閉店後、廃棄の商品はないかと1人で店内を物色すると、賞味期限切れの1個1170円もするプリンが2個そして、半額で100円の厚揚げ1個が売れ残っていた。
僕は慎重にそれらの商品をカゴに入れバックヤードへ。
その日のスタッフは僕を入れて学生アルバイト3人。
2人はくたくたになりながら放心状態で帰る準備をしていた。
その隙に退勤を打って、商品を持って帰ろうとしていたその時、
「先輩!忘れ物です!傘!」
ありがとう、忘れるとこだった、しかし後輩よ、時と場合を考えるんだ。
結局、右手に持っていたプリンがバレてジャンケンで買った人が持って帰ることになった。
そして、、
私は100円の厚揚げを持って帰った。
理由は言うまでもない。
帰り道、厚揚げをブンブン振り回しながら帰った。厚揚げにはなんの罪もないのに…。
厚揚げは厚揚げでも高級スーパーの厚揚げだ、美味いに違いない、明日の朝味噌汁にでも入れよう
そう思って冷凍庫を開けると全く一緒のパッケージの厚揚げがカチコチに冷凍保存されていて、僕は考えるのをやめた。
僕の脳味噌も永久凍土の中で凍え死んでしまったのだろうか。。